クバーノに触れて 第二章

キューバに着いて初日、
セントロと呼ばれる中心街で
タクシーを降りて宿を探した。
近くの高級ホテルにパソコンがある
と聞いたのでゆうたさんに荷物を預けて
1人でちょこっと覗いて見る。
確かにあったけど値段が高い上に
古くてガピガピ音がする。
なるほどキューバには本当に
電子機器が無いんだなと実感。
そんなことを思いながら
ゆうたさんの腰かける場所へ戻ると
1人のおじさんと話している。
ニコニコしたおじさんは、
宿が決まってないんなら
友達のやってる宿に行こう
と何度も誘う。
そこ見てみよっかって、
リュックを背負おうとした時、
みき「あれ?……
うちのリュックどこ?……」
ゆう「え?……
え????」
みき「マジで〜〜〜
キューバ初日で〜〜
ここに来てですか〜〜」
ゆう「うそお…
うそお…!」
ゆうたさん真っ青。
「おれ、ちょっとギター弾きよって、
色んな人に話しかけられて、
えでもさっきまで
ここにあったがやけど…………」
みき「やられた〜〜〜〜(爆笑)」
気が抜けて笑うしかないし
怒る気になんかならんかった。
これでみきかの荷物の
貴重品以外全部がなくなったのだ。
笑っていられたのは
現金やカードは全部
無事やったけんやけど。
その時はなんかむしろ気持ちよく
おじさんについて歩きよった。
そのおじさんは荷物がない??
と驚いた顔は見せたが
関係ないかどうかは定かでない。
連れて行ってくれたところは
なかなかいいお兄ちゃんの家で、
その1室を貸してくれるという。
そういうのをカサ・パティクラルという。
その主人のお兄ちゃんはギターが弾けて
おもしろそうなので
泊めてもらうことにした。
で、その紹介してくれたおじさんに
いくら払うかでもめにもめ、
ねだられねだられ、けっこうとられた。
そういうのが初めのうちは
どれぐらいが相場か
分からんかったけん大変やった。
しかもゆうたくんは優しいし
争いが嫌いやけん
すぐあげようって言うし、
おごってって言われたらすぐおごるし、
それについては何回怒ったか分からん。
一回は夜、一人の時に
女の子にナンパされて
酒とタクシー代おごらされて
なんやらかんやら
(それ以上はプライバシーに
かかわるので書きませんがw)
財布は空、みきかには言えるワケない、
最悪の気分で帰って来たらしい。
とのちのち告白した。
それで、そのカサ(家の意味)で
夜やっぱりギター持って宴会になって、
色々セッションして遊んだ。
他の泊まり客5人とカサの家族3人と
うちとゆうたくん。
そこでキューバ特産のラム、
ラムをミントと炭酸水と
砂糖で割ったモヒート、ワイン、
そしてラム、ラム、ラム。
みんながどんどん
持ち寄った酒をついでくれて
キューバ初日、
ゆうたはぶちっと何かが切れ、
カンパーイカンパーイを
繰り返し叫んだ。
叫び、そして歌った。
その即興歌の詞は、
「キューバのハバナのカサで
ハポネサ(日本人)が2人歌う〜
ああ〜カンパーイカンパーイ
そうさ荷物が盗まれたんだぜ〜ああ〜
おれが見てない間に無くなったんだぜ!
でもさでもさ彼女は余裕の顔で
笑ってくれたのさ〜うえーー!!」
あの澄んだゆうたの声を
ガラガラにして歌い、
そしてベッドにぶっ倒れて
動かなくなったのでした。




プロフィール

志和 樹果(Mikika Shiwa)

Author:志和 樹果(Mikika Shiwa)
1992年へその緒を首に巻いて死にかけながら生まれ落ちる。高知県足摺半島で育ち、音楽と芸術に没頭、中学卒業と同時に旅人になる。ギターとハーモニカを持ってライブを重ね、16歳で自主制作1stアルバム「こもど」を作って売り歩く。18歳のときドイツに渡り、路上で歌いながら1年ちょっと、世界23ヶ国の旅をする。その後ユウタと出会い、バンド the Old Wooden Band や録音を始める。22歳になって、Great Spirit と名付けたバンドで突然ドラムを担当することになり、メンバー4人のみでアメリカブルースの道を辿るツアーを決行し、その珍道中を収めた「日常と長い夜~Everyday and Hard Night~」というロードムービーを制作。現在は高知県西部の古民家で録音スタジオ「二十億光年スタジオ」を作り、録音やバンド活動をしながら、まだまだ旅の途中。
The Old Wooden Band 動画 ↑ここをクリックするとyoutubeに飛びます。

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